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路上観察委員会 in Dresden, Germany
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カルチャー・ショックや習慣の違いと表現される各事象は、個人・家族・地域・地方・国・宗教・民族のレベルで存在する。当然のことながら、ドイツに住みはじめてからは御多分に漏れず「ナヌ!?」と眉間にシワが寄るような言動に数多くブチ当たる。その中でもどうやら水周りにおいては驚きやショックの針の振幅が大きい気がする。水周りとはつまり衛生観念に基づいており、どうやらそれは本能に近いものがあるらしい。

同居人の実家に初めて行った時のこと、彼の父親が洗う食器を布巾で拭くという基本的な小さなお手伝いをした。洗い流し忘れたような洗剤の泡を見つけたので、「あの、ここに泡ついてます…」と言うと「その布巾で拭きとって」との答え。言語明瞭意味不明。洗剤は毒だという感覚のある日本人にとって、洗剤は流水でしっかり落とすもの。ドイツの日常生活における習慣が一つクリアになったことで、途端に胃の調子が悪くなった気がした。

ドイツ人の食器の洗い方はこうだ。タライ、あるいはシンクの底に栓をしてお湯を張り、そこに洗剤を注いで泡を立て、その中に全ての食器を漬け込み、その泡の中でスポンジでゴショゴショと食器の汚れを落とし、そのまま食器バスケットあるいは傍らの台の上にその皿を置く。その副産物として、タラ~っと垂れる洗剤の泡がある。そしてその泡を布巾で拭っておしまい。

「洗剤落とさないなんて信じられない」と私一人が大騒ぎをしてもここではマイノリティー。早速にもヨーロッパ諸国に居住経験ありの友人たちに実態調査のつもりで聞いてみた。イギリスにホームスティしていた友人は、「お手伝いのつもりで食器洗って流水で流そうと思ったら『あんた何やってんの!』とばかりに退かされた。スポンジで泡つけてそのまま布巾で拭くだけ。道理で食器が全部甘ったるい匂いがすると思った」と。ベルリンに住む通訳の日本人女性は「あ、それね。日本人誰しもが最初に受けるドイツの洗礼よ」とあっさり。フランスに住んでいた友人は「シャワー浴びてもシャワージェルを皮膚に残したまま出てくるよね」と。確かに、便器もシャワーブースもバスタブも洗面台も納まったbath roomにおける風呂の使用方法をみても、お湯を張ってシャワージェルを混ぜ、その泡々の中で体を洗い、流し湯をしないでそのまま出てくる。

洗濯機や食器洗浄機以外の場合、水と石鹸系の問題における「残したままにしておいてよい」という感覚は、食器洗いと入浴にも共通しているらしい。

原因としては、単に水道代が高いという経済的理由。確かに高い。そして海に囲まれ山がちな日本は川が多く水が豊かであるのに比べ、ヨーロッパはどうも水が不自由だから「大切に使わなくてはいけない」と子供の頃から教育される。よって「湯水のごとく金を使う」という表現は存在せず、むしろ「大切に使う意味か?」と勘違いされてしまう。シャワージェルで濁ったバスタブの湯であっても、家族であればそのまま次の人が使うほど。

そして、やや食器洗いとは直結した話ではないが、乾燥した気候。お餅を焼いても表面にヒビが入り、干した洗濯物がほぼ1日のうちにバリバリに乾く土地である。シャワージェルというものは上がり湯やシャワーで完全に洗い流すものではなく皮膚に残すものらしい。

しかし。

ドイツにおける子供のアトピー率は50%という話を聞いた。エコ大国のイメージの強い国としては意外な話なのだが、流水で流さない残留洗剤との関係がないわけがない。「タライにお湯を張って、それで食器を洗ってね。水は高いから」と同居人の母親に言われたことがあるが、残留洗剤が原因で何かしら体に不具合が起こればむしろ高くつくし、病院に行く(あるいは子供を連れて行く)手間を考えると得策ではない。なので、大議論の末に同居人のほうが妥協してくれ、流水で洗剤を洗い流している。もし水が高い、というのであれば、外食や旅行に行く回数を1回減らせばいい。

日本にいる時、長年日本で研究生活を送っている韓国人留学生に言われたことがある。「その国の文化や習慣について、なぜ?って考えてはだめ。そういうもんなんだって思わなきゃ。じゃないと疲れるわよ。」これは今の私にとっては金言。郷に入れば郷に従え、という言葉に置き換えられるのかもしれないが、彼女の簡単な言葉にはそれとは違う響きと納得させられる含みがある。

同居人の実家や祖父母宅においてはドイツ人式の食器の洗い方を私もしている。特に体調が悪くなることもなく、下痢にもならない。一応、洗剤=毒という概念からは脱出したとはいえ、摂取しなくてもいいものは摂取したくない。やはりこれだけは譲れない。

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時々こっそり日本でもそれを敢行する私
イギリスでもそうだったわ。泡のまま拭かれていく食器。。。
でもね、その簡易さが私は好きだった(笑)
今でも時々、洗剤薄めのたらいの中で食器をごにょごにょした後、こっそりそのまま上げてしまうことがあるのよ(笑)(←もちろんちゃんと「ふき取る」わよ)疲れちゃって早く寝たいときとかね!
ソプラノ 2007/09/24(Mon)16:34:07 EDIT | RES
Re:時々こっそり日本でもそれを敢行する私
日本の飲食店でも、洗剤プールとすすぎプールしかない場合は、流水で仕上げないものね。
ヨーロッパで広く慣行されているアレは、日本人の場合は経験しないと出てこない発想だと思う。
疲れているから許して!…だね。
【2007/09/24 17:05】
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横浜育ち、現在ドイツのドレスデン在住。
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