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路上観察委員会 in Dresden, Germany
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2007
330日(金)19:00.~ゼンパーオペラ(ドレスデン)にて
原題 Euryanthe
指揮 
Jun Maerkl

演出 Vera Nemirova

舞台美術衣装 Gottfried Pilz

歌手 Euryanthe (Gabriele Fontana), Koenig Ludwig (Johann Tilli), Adolar (Richard Cox), Rudolf (Timothy Oliver), Lysiart (Olaf Baer), Eglantine (Evelyn Herlitzus), Bertha ( Christiane Hossfeld)

 

時々、妙に熱心に「これ観たい」と言い出す私の同居人。「前から観たいと思っていた」と騒ぎ出し、絶対に忘れないようにとゼンパーオペラの公演予定をトイレの壁に貼っていた。当日、1815分頃帰宅した彼は急いでスーツに着替え、二人で車に飛び乗ってオペラ座に向かい、当日券売り場でベンチ席を8ユーロで購入。最終回ということもあり、ほぼ満席の大入り御礼。

1817年にザクセン王国の宮廷楽長したウェーバーが中世の物語を題材にしたオペラで、1823年にウィーンで初演され、ドレスデンのゼンパーオペラでは1824331日に初めて上演された。いわば男女の忠誠もので、ああヒーローたちのドラマティック絶賛炸裂中。

 

幕が上がった途端、ペラっとした白い衣装を着た大勢の人々が見えたので、「げ、またしてもモダンな舞台か…」とがっかりした。残念ながらこのオペラ座のモダンな舞台美術と衣装は常にコケている。しかし、今回は見事に裏切ってくれた。おお、嬉しいではないかっ。

舞台の床全面は光沢ラミネートのような真っ黒。コの字型の壁はトラバーティンのつもりであろうか、そこに穿ったような出入り口はまるでヘルツォーク&ド・ムーロン。舞台と衣装の色は白・黒・赤で、その織りなしで心情や場面設定を表現。

ピンクと赤の紙ふぶきがまかれると、黒い床とのコントラストはまるで夜の桜。

朝顔のように360度裾が広げられたウェディングドレスを着たオイリアンテ…幕が上がるとその反射で目が痛い。体を回転させるとそのねじりによって生じるドレスのラインが美しい。

黒い衣装。それを破るように脱ぐと真っ赤なドレス。その赤は黒い衣装とのコントラストにも、そして床の黒にも映える。

ピンスポットが当てられると床に反射して影が後方の壁に映し出される。これは演出上では偶然の産物だったのであろうが、前方の歌手と後方の影という実と虚の共存が驚くほど効果的に出ている印象深いシーン。

舞台も衣装も、アイテム的には少なすぎず多すぎず、そして無理なく狙いすぎずとても効果的に的確に表現していると思わせる。「モダンな舞台と衣装だったら、こういうのが観たかった」と長らく待ちわびていたことを自覚する。

 

「オイリアンテ」には、有名なアリアも、帰りながら口ずさめるようなメロディーもない。美しいメロディーや面白いメロディーになるかも、と予感させるような断片がところどころ出てきて観客を引き込んでくれるのだが、やがていつの間にか素通りされてしまう。

長い巻き毛でパワフルなエグランティン役のエヴェリン・ヘルリツイウスには見覚えがあり、なるほど昨年夏にワーグナーの「ニーベルングの指環」でブリュンヒルデ役だった。エヴェリン嬢は「オイリアンテ」でも「ニーベルングの指環」の両オペラにて真っ赤なドレスを着て、そして指環について歌っている。こういう共通点を野次馬的にみつけるのも、1つのオペラ座に通う楽しみかもしれない。

その他は、とくに突出した歌手もいなく印象に残らなかった。舞台美術と衣装が大当たりだけに、それよりも株が下がるのはもったいない。

余談だが、歌手よりも演奏よりも演出よりも目がいってしまったのは、宮廷に喜ばしのために雇われている大道芸人たち…火吹き男、一輪車に乗って輪投げをするピエロ、ジャグラー、逆立ち男。彼らはプロで、このために召集がかかって舞台に乗っているのであろう。「いつもはね、彼らはアルト・マルクト広場で大道芸やってるよ」と同居人に言ったら本気にしている。とはいえ、そのようなものだろう。いいのか悪いのか、一番目を奪われたのは彼らが技を披露した瞬間だった。歌手の声も耳に入らない。子供のように釘付けになって手をたたいてバカ喜びしそうになった私は、しかし正直ではないのか?

8882cce9.jpgオペラ座の階段を下りると、ぴったり髪をなでつけた神経質そうな顔立ちのウェーバーがいた。約180年後の今日、いまだに自分の作品がまさにこのオペラ座で上演されているなんて、嬉しいかもしれないがこそばゆいかな。

 

オペラ座すぐ脇にあるAlter Meister Cafeにてかなり遅い夕食。同居人はバイソン肉、私はラムを食す、ワインと共に。ここは昼のカフェもいいが、夜遅い食事も素晴らしいので気に入っている。同居人と先ほどのオペラについてあーだこーだ言い、パンフレットを読む。折り込みになっている配役表の裏には黒地に白い文字で「ワーグナー ニーベルングの指環」…アンタらまたやるんかい!(というのも、昨年9月に全4幕合計14時間制覇しているから)

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ライター、ジャーナリスト(建築系)
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横浜育ち、現在ドイツのドレスデン在住。
専門分野は建築史(住宅史)。

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