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路上観察委員会 in Dresden, Germany
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2007
1119日(日)11A.M.
ゼンパーオペラ(ドレスデン)にて

原題 Zauberfloete

作曲 Mozart

指揮 Hans-E. Zimmer

演出・舞台美術・衣装 Achim Freyer

役者 Tamino(Martin Homrich), Papageno(Christoph Pohl), Sarastro(Georg Zeppenfeld), Sprecher(Mattias Henneberg), Pamina(Kyung-Hae Kang), Koenigin der Nacht(Anna-Kristina Kaappola), Papagena(Christiane Hossfeld)

 

日曜日のマチネは子供優先の鑑賞日のため、もともとの値段設定が低かったこともあるが、それにしてもギネスに挑戦のお値段4ユーロ50セントでチケットを購入。
この日のこの回は、現地の音大でフルートを専攻する日本人の友人Kが吹くというので、その応援もあって授業参観の気持ちで出かけた。

ドイツでは小学校で習うというオペラ「魔笛」。
興行主兼歌手俳優シカネーダーが自分の一座のために台本を書き、モーツァルトが1791年に作曲し、完成した二日後にウィーン郊外にあるヴィーデン劇場で初演。二日後って、ほんとかいな。ちなみに、その年の12月にモーツァルトは死去。最後の一花咲かせてごらんにいれやしょう。

オペラは夜、と相場が決まっているのに、マチネなので朝11時開演。のんびりグダグダ日曜日の朝を過ごすうちに緞帳の上がる時間が迫り、「朝からカレーライス」のキブン。
私の席は三階の上手(舞台向かって右)の端の最前列。
常に前に乗り出していないと舞台が見えない疲れる席なのだが、自分の真正面眼下、オーケストラピットの穴の底にフルート奏者Kを見下ろす絶景なり。
が上がる前のひととき、彼女はピッコロを練習している…その合間にも客席を気にしている様子なので、すかさず思いっきり両手を振ってみる。

一瞬ギョっとしている…『私がバッチリみえちゃうスバラシイ席!』と言っているに違いない。カメラを向けたらポーズまでとるので、仕事風景ということでパチリ。

真っ赤なカーテンに真っ赤な床板。狭い芝居小屋風の舞台美術で、文字やドアや床の目地が手描きで、学芸会の稚拙さを演出、か。
「魔笛」は宮廷劇場用ではなく、もともと一般大衆向けの舞台興行用だったことを考えると、高貴で優雅な大ステージでなく、このほうなオリジナルのであろう。
電気なんてないからこうしか照明当てられません!的な、下から裸電球を当てるようなぎこちなさが残る照明。
全体として、おもちゃ屋さんひっくり返したような舞台と衣装で、本来の随所に仕掛けられているスペクタクルはバカ騒ぎとドタバタ寸劇。白塗りに原色のせたメイクでさらにパワーアップ!ええぃ、こうなったら担当者出て来い!
白塗りのバカ殿メイクに絵具から直接色を出してきたような衣装に芝居小屋風舞台であれば、歌手たちの振り付けや動きも気取っているわけにいかず、幼稚園児に磨きをかけるしかない。どこかバウハウス・バレー風で、これしか回答はないだろうな、と思ってしまう。
虎のラインダンス、ザラストラの頭上に燦然と真黄色に光る自由の女神の冠、太鼓にラッパにトナカイ風のぬいぐるみ!?…やけっぱちの領域に片足入れる覚悟なのか、やるならトコトンの気迫が伝わってくる(ようだ)。聖十字架教会の少年合唱団から入れ替わりで参加している3人の少年たちは、唯一無理なくこのような衣装が似合っており、その天使の歌声と共にホっとさせられる。

全身に羽を刺したお伽話のようなコスチュームを想像していたが、多少道化が入る役どころのパパゲーノとパパゲーナは緑のつなぎパンツにオレンジのシャツ。キャップ帽が鳥の頭部になっている。
パパゲーノの緑のつなぎパンツの股間からは演出で鳥が出てくるし、パパゲーナの下腹部の裂け目からは目がのぞく。
ドイツ語で鳥(Vogel)の動詞voegelnは卑猥語なのだが「性交する」という意味。笛はペニスの隠語で、笛を吹く(floete blasen)はフェラチオの隠語。これは英語にもドイツ語にも共通する。
「僕の○×を舐めて!」と従姉妹宛の手紙に書いているように、モーツァルト自身が卑猥な冗談を気軽に楽しんでいたようなので、まったくもってモーツァルト好みなのか。

 

白塗りバカ殿メイクが際立っていたのが、一応主役のタミーノとパミーナ。アンタが一番!と唸ってしまう。たとえ仕事とはいえ、自分であのメイクをする勇気は私にはない、とも思う。
白いヨレたシャツに、縦と横を縫ったら完成しそうなズボンにスカート。
悲しく切ないアリアをその顔で歌ってくれる。しかもパミーナ役は何度かここのオペラ座での舞台でお見かけしたことのある馴染みの韓国人歌手。聴覚的には鳥肌立つほどすばらしいのに、視覚的にはチンドン屋と言わずして何と言う?誰かとめるヤツはいなかったのか、と同情の気持ちすらある。

お待ちかねは、夜の女王。

トンガリヘアに、フレディ・マーキュリー好みの左右色違いのジョーカーのような衣装。どうせだったら矢印のついたシッポで〆てもらいたかった。惜しい。
超絶技巧のアリアは、音はずしなし。喉がかっ切れそうな高音域に、聴衆はかたずを飲んでいる。無事に歌い終わるとホっとするような安堵のため息と、ヒュー!という軽いシュプレヒコールが。
しかし、声が細い。もっと強く威圧的なイメージの役なのだが、とても薄い。ジョーカーにはちょうどいいのだが。

ンパッパパパッパパパパパパパッパパ♪
…パパゲーノとパパゲーナの有名すぎるアリア。
友人Kが牧神パンが持つ小型パンフルート(パパゲーノフルートと言うらしい)を構えたのが見えたので、こちらは娘を見守る母親の気分。
ソラシドレ♪と軽快に吹く姿を凝視…息できない。こちらが緊張。

ソラシドレ♪の次にパパゲーノが「1!」と言う箇所では、今回パパゲーノ役初めての歌手が先に「1!」と飛び出し、友人Kは首をかしげて困惑顔。

終了後すぐに友人に電話したら「こっちの出番とらないでよね!」と息巻いていた。
 

その後、ネットで他の演出や歌手による「魔笛」を探しては見ている。

大きな舞台に壮大なセットにノーブルな衣装で「モーツァルトでございます」的なものが多い。期待通りとはいえ、「どこかつまらん」と小さく呟いてしまう。
じゃあ、あの原色バリバリの芝居小屋風歌劇がいいっていうのか?と自問自答。

きれいなもの、美しいものに見飽きている、はたまた出尽くしている現代なのだろうか。
「面白いもの」がもっともピタリと感覚にあうキーワードであることは以前から誰しもが認識していること。
アートもファッションも日本のマンガやアニメやフィギュアに次なるヒントを得ていることを考えても、ゼンパーオペラの今回の「魔笛」は現代の我々の感覚や状況を満足させるひとつの回答なのかもしれない。こんなことを考えていいのか?と薄気味悪く思いながらも、いまだ試行錯誤中の一つの通過点であることを願っている。

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ライター、ジャーナリスト(建築系)
自己紹介:
横浜育ち、現在ドイツのドレスデン在住。
専門分野は建築史(住宅史)。

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■ドイツ在住日本人向け情報誌ドイツ・ニュース・ダイジェストの「私の町のレポーター」のライター
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