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路上観察委員会 in Dresden, Germany
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 私のパートナー(ドイツ人)の母親は無類のシュニッツェル好きである。シュニッツェルはドイツ風カツレツとでも紹介されているのであろうか。卵とパン粉を繰り返しつけるので、日本のカツレツよりも衣がしっかりしていて厚い。あのぶ厚い衣が吸収する油の量を想像すると恐ろしいのだが、天ぷらに限らず油を吸った衣というものは副産物ならではの喜びをもたらしてくれる。 

ところで、どれだけ彼女がこの料理が好きかと言うと、レストランで「本日のおすすめは鱒のムニエルです」と店員が説明し、「あら、そう。よさそうね」と相槌を打つことは打つのだが、メニューにシュニッツェルがあれば先刻聞いたはずのおすすめメニューなどはどこかにいってしまい、絶対にこれを注文する。しかも、料理上手の彼女はシュニッツェルを休日ごとに家族のために作ったらしく、その結果として私の彼はシュニッツェルがどうも嫌いになってしまった。

ある週末、久しぶりに私たち二人は彼の実家を訪ねた。彼女が作るシュニッツェルが好きな私のために、このメニューを日曜日の昼食にしようと前日から計画してくれた。朝食の片付けが終了すると彼女はすぐに昼食の準備に取りかかった。トントントン、と牛肉を薄く延ばす木槌の音が家中に響く。「シュニッツェルの音だ」と彼は不愉快そうに言う。その後の工程は複雑ではない。塩コショウを振った後に卵とパン粉をつけて焼き、この作業を何度か繰り返し、かなりしっかりと焦げ色がつくまで躊躇なく焼けばいいのである。多めの油で揚げるように焼けば当然油が四方八方に飛び散るのであるが、この国にはレンジの三方を囲むアルミガードのような小回りの利くキッチングッズはない。しかし、料理の後にグリルを外して洗い、刺繍されたクロスを掛けてしまうとキッチンは何事もなかったかのような表情になる。

「朝食は王様のように、昼食は皇帝のように、そして夕食は農民のように」食べることが伝統的な食のスタイルであるドイツ人にとって日曜日の昼食はちょっと特別なようである。写真を撮る私に「今日は単純な料理よ」と彼女は笑うが、ドイツの食生活のイメージを裏切らない茹でたジャガイモを筆頭に茹でたカリフラワー丸ごと、そして主役のシュニッツェルが食卓に並ぶ。裾が広がる足を持つ伝統的なワイングラスのドイツの白ワインを注ぐのは毎回父親である。

「煮込みすぎで大味で単純」というレッテルを貼られるドイツ料理。そのしてドイツの食は貧しいという既成概念を否定はしない。しかし、家族全員が揃い大切に選んだワインと手抜きなしの料理が並ぶ食卓、そしてその先にある時間を思いながらこの国の人たちは食卓つく。
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プロフィール
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die Sonne
性別:
女性
職業:
ライター、ジャーナリスト(建築系)
自己紹介:
横浜育ち、現在ドイツのドレスデン在住。
専門分野は建築史(住宅史)。

活動
■某建築系雑誌のコレスポンダント
■ドイツ在住日本人向け情報誌ドイツ・ニュース・ダイジェストの「私の町のレポーター」のライター
http://www.newsdigest.de/news
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